ラグビー

岩出監督61歳。

大学ラグビー対抗戦で慶應大学が帝京大学に勝った。実に9シーズンぶりのことである。
29対24と点数は拮抗しているが、お互いにミスを連発する凡戦といってもいいような内容だった。

今年の慶応は、早々に筑波に競り負けると、日体大にも不覚を取るなど、例年に比べて戦力が低く、大学選手権にも22年ぶりで出場を逃している。
一方の帝京大学も、早稲田、明治と星を落とし、対抗戦での9連覇を逃した。

一昨年ぐらいまでの帝京は、図抜けた強さを発揮していた。
個々の選手の上半身の張りが他の大学の選手より一回り大きく、まずフィジカルで圧倒していた。流れるようなパス回しと突破力は胸がすくようで、素人目に見ても、大学生相手に負けることなど考えられなかった。
しかし、今年の正月、大学選手権の準決勝で天理に敗れ、やはり大学選手権の10連覇を達成できなかったときに、退潮の気配を感じたものだ。
その理由の一端が、昨日の慶應戦で見えた気がした。

ラグビー中継では、プレーとプレーの間に時間が空くことがあり、その間を利用して監督やコーチの様子をちょいちょい映すことがある。
そこに映る提供の岩出監督の姿が、えらく老けて見えたのである。ここ数年、髪に白いものが増えてきたことには気づいていたが、今年は一気に増えた。
それだけではない。試合は劣勢に進んでいるにもかかわらず、 岩出監督の表情はどこかうつろで、淡々とした様子である。

指導者の気力と体力の減退は、チームに如実に反映する。
巨人が10連覇を達成できなかったのは、王や長嶋など主力選手が衰えたからだと総括されているが、それ以上に、川上監督自身の衰えに原因があったと自分は見ている。
若手を次々に抜擢することで連覇の礎を作ってきた川上監督自身が次第に衰え、連覇の後半、チームの新陳代謝にまで隙なく目配りすることができなくなったということではないのか。

慶應戦の試合途中で見せた岩出監督の呆け顔が頭を離れない。
岩出監督は、帝京に大学ラグビー史上に燦然と輝く、空前絶後の黄金時代を築いた。
しかし、既に彼の時代は終わった。

新しい指導者にバトンタッチしない限り、帝京大学の凋落に歯止めは聞かないはずだ。
岩出監督の衰えと歩を合わすように、じわじわと黄昏ていくのだ。