テレビで見た

『俺の話は長い』は、短く感じるぞ。

『俺の話は長い』がめちゃくちゃ面白い。
誰が書いてるんだと思ったら金子茂樹という脚本家だ。Wikiで作品リストを見てみたが、『きょうは会社休みます』『世界一難しい恋』『ボク、運命の人です』『もみ消して、冬』など、見ていた作品がいくつもあった。
ただ、自分にとってはこれらはいずれも、特別には記憶に残っていない作品ばかり。どれもググらなければどんな話かすらほとんど覚えていなかった。

しかし、『俺の話は長い』は傑作である。
昨夜の「ジンライムと商店街」は、房枝(原田美枝子)と孫の晴美(清原果耶)との会話から始まる。

「おかえり~。」
「ただいま~。」
「ずいぶん遅かったわね。」
「うん。スーパーにパトカーが来てたからしばらく見てた。」
「なんだったの?」
「わかんない。」
「なんでわかんないの?」
「別に警察官が出てきて犯人の説明してくれるわけじゃないし。」
「見てたらだいたいわかるはずだけどねえ。」

これらのセリフは本編のストーリーには何の関係もない。どうでもよいセリフである。しかし、ストーリー上、あってもなくてもよいセリフを導入部に持ってくるなんて、向田邦子みたいだ。
もっとも、『俺の話は長い』の本領は、重要かどうかが判別しがたいセリフをたくさん積み重ねていくことによって、徐々に視聴者の情緒を揺り動かすところにある。
この手の会話のさじ加減が、作品のクオリティを左右するという構造になっているのだ。

今回の導入部は、その匙加減が絶妙だった。

「朝練、めんどくさいよね。」
「うん、めんどくさい。」

喫茶店「ポラリス」の前を、剣道部らしき女子高生二人が通り過ぎざまに交わすセリフである。
この僅か5秒足らず画面が挿入されているのは、前のシーンが終わったこと、今は早朝らしいことを伝えるという役目を担っている。子鳥がちゅんちゅん鳴いているとか、ありきたりの手法を取らないんである。しかも、ドラマのスパイスとして、それと感じさせることなく効いているんである。

『俺の話は長い』は傑作だ。少なくとも自分の記憶には長く刻まれる作品になるはずだ。
17歳にして、将来の大女優確定の清原果耶も相変わらず抜群にうまい。

10年後に思い出すとしたら、「あの『俺の話は長い』って、清原果耶も出てたんだ!」なのか、「清原果耶ってあの『俺の話は長い』にも出てたんだ!」なのか。
10年後にはどんな風に思い出すかなあ。