序の口経営者ってやつは

平日に遊ぶ

包丁で指先を切ってしまった!思わず傷口をなめる。

組み込まれた条件反射は、人類に至る祖先が体得してきた歴史の証拠である。

有機生命体は約38億年前に 水中で発生したとされる。陸上で生活するようになった生物は昆虫が最初で、4~5憶年前のことである。

生命は9割近い歴史を水の中で暮らしてきたわけである。
指先の傷を反射的に舐めるのも、口の中の傷の方が外傷よりも治りが早いのも、生物は水に浸かっていることがデフォルトだったことの名残なのだ。

お肌の手入れの基本が保湿であること同じこと、湿潤治療用の絆創膏がメジャーになったのも、水煮濡らすことが体にしっくりくると考えれば腹に落ちる。

土日も平日も仕事に関係なくなって半年が過ぎた。

月曜の朝に寝坊したからと言ってとがめられることはない。寝てようが遊びに行こうが、一向に構わないのである。日曜夕方の夕方は憂鬱を感じなくなり、サザエさん症候群は無縁となった。
最近でこそ、ぼちぼち仕事をしてはいるが、スケジュールはスカスカだから、仕事のアポイントも、およそ相手の言いなりでOKを出すことになる。

ところが、よく考えてみると、平日に仕事以外で外出をしたことはないことに気づいた。映画や美術館に行くのだって、わざわざ混雑している土日や祝日にばかり出かけている。

三十数年に及ぶ企業人生活によって、平日に遊ぶ、イコールサボり、との条件反射がすっかり身についてしまっていたのだ。

来週のとある平日に、午後から仕事以外の予定を初めて入れてみた。
罪悪感なく1日を楽しめるかどうかが企業人生活の呪縛が解けたかどうかを見極める試金石になる・・・はずだった。

さっき1本の電話があり、当日の午前中に、仕事の打合せ予定が入ってしまった。他の平日は全くの白紙だというのに、何たることだ。

しかし、サボりが半日だけになったことで、ほっとしているのもまた事実である。38億年の生命史からみれば、三十数年などは一瞬のまばたきにも及ばない。
しかし、平日に仕事をしなければならないという条件反射は、なかなかに手ごわく、払拭するには、まだまだ時間がかかりそうである。